JOURNAL
HI-TEC PEOPLE #010
鈴木 優香|山岳収集家
1974年にイギリスで誕生し、世界初の軽量アウトドアブーツの開発をはじめ、多くのスポーツで歴史を彩る数々の名作シューズを生み出してきた、アウトドア・ライフスタイルブランド<HI-TEC>
ウェブコンテンツ<HI-TEC PEOPLE(ハイテック・ピープル)>は、チャレンジをしながら自分らしい人生やライフスタイルを謳歌するさまざまな人物にフォーカスしていくシリーズ。
昨年2024年にブランド創業50周年を迎え、51年目を迎えるHI-TECのインタビューに、「山岳収集家」として世界中の山々を巡りながら、山と旅をテーマに写真やデザイン、文章などを通して幅広く表現活動を行う「鈴木 優香」さんが登場。
高尾山に隣接する小仏城山を登山しながら、フィールドワークをプロダクトとして発信する「MOUNTAIN COLLECTOR」の活動のこと、ネパールの6,000メートル峰に挑戦する直前の経緯や心象、その後の目標など、自然と寄り添いながら人生を歩む、鈴木さんのライフスタイルをインタビュー。
また今回は、HI-TECと鈴木さんのコラボレーションアイテムを特別制作。オーガニックコットンの柔らかなボディに、写真家である鈴木さんの作品落とし込んだ<HI-TEC X YUKA SUZUKI コラボレーション Tシャツ> を特別制作。アンケートページより応募いただいた方から抽選で「合計30名様」 にプレゼントします。
※<HI-TEC X YUKA SUZUKI コラボレーション Tシャツ> は、こちらのページのインタビュー下部に掲載しています。
登山でなくても、旅先で自然の中に行くことってあると思うんです。そういう時に履いていたら良さそうだなと。
- 今回は鈴木さんがよく来られている、高尾山の隣にある「小仏城山」を軽登山しながらのインタビューということで、少し小雨の降る中、1時間ほどの登山でしたが、けっこう気持ちよく登れました。
鈴木:雨がちょっと心配でしたけど、気温もちょうど良かったですし、いつもとは少し違う風景だったので楽しかったです。頂上の茶屋は残念ながらお休みでしたが。
- 山の中が霧がかっていて幻想的な雰囲気もありましたね。670メートルの頂上は霧も少し晴れてきて八王子の街々が一望できました。頂上から縦走で高尾山にも行けるんですよね?
鈴木:そうです、だいたい1時間ぐらいですね。なので高尾山に縦走することもあるし、この小仏城山だけ登って降りることもあります。あと、城山から景信山という山にも行けます。
- ちなみに高尾山は植物の種類が1,600種類とかなり豊富のようで、HI-TECはイギリスで創業したアウトドア・ライフスタイルブランドですが、イギリス全土に自生する植物の種類と同じぐらいあるらしいです。
鈴木:すごいですよね。今年の3月の終わりにも高尾山に来ました。ちょうどいろんな種類のスミレや小さい花が咲いている頃なんですが、そういうものをゆっくり見ながら歩くのが楽しい山です。
- 高尾山は四季折々の植物が楽しめるスポットなので、山の中のあらゆるものを撮影される「山岳収集家」の鈴木さんの活動にはピッタリの場所かもしれませんね。登山中も少し紅葉した杉の葉っぱや栗とか、水たまりとか、普段あまり気にかけないものに目を向けられてたのが印象的でした。
今日はHI-TECのアウトドアシリーズを代表するモデルの1つの「AORAKI(アオラギ)」を履いていただいていますが、HI-TEC自体はご存知だったんですよね?
鈴木:一時期、軽いハイキングに使えるシューズを色々探していた時にHI-TECの存在を知りました。実際に履いたことはなかったんですが、このモデルはソールに凹凸がしっかりあるので滑りにくいですね。
- 今日は登山道が程よい感じでぬかるんでいたので、シューズの性能テストにもちょうど良かったかもしれません。
鈴木:クッション性はそこまであるわけではないんですが、ソールがしっかりしているので、いろんな道を歩きやすそうだなという印象です。
- モデル的には軽登山やハイキング向けで、山を少し登ってみようかなぐらいの方へのエントリーモデルになります。
鈴木:あとは登山でなくても、旅先で自然の中に行くことってあると思うんです。そういう時に履いていたら良さそうだなと思いました。
- ブランド自体、自然の中と街の中の両方で履けるようなシューズの開発を目指していて、このAORAKIはそれを表現するシグネチャーモデルの1つです。例えば数日間の旅行で、この日だけちょっとハイキングするなどの旅でも活躍するかと思います。
鈴木:旅先でちょっと公園に立ち寄るとか、知床や尾瀬とか登山ではないけれど自然の中を歩くというシチュエーションにも良いですよね。アッパーがスウェード素材なので、そこまで雨が入ってきそうな感じではないですし、今日のこの天気の中でも快適に歩くことができました。
- エントリーモデルではありますが、アッパーには透湿防水メンブレンの「ドライハイ ライト」を採用しているので、今日みたいな少し小雨が降るような中でもオールラウンドに活躍するシューズとなっています。
このシューズでマウント・クックを歩いたら気持ちが良いだろうなと想像が膨らみます。
鈴木:このAORAKIはデザインもいいですよね。このなんとも言えないレトロ感が好きです。
- 見た目のデザインは少しオールドっぽい雰囲気ですが、機能と古き良きアウトドア感をうまくミックスさせたモデルとなっています。
鈴木:カラーのラインナップもたくさんありますし。スペアで違う色のシューレースも付属してるんですね。
- そうですね。定番カラーに毎シーズン新色を追加して展開していて、シューレースはシチュエーションやその日の気分やスタイリングで取り替えができるようにしています。今日履いていただいているのが定番のチャコールカラーですが、鈴木さんのスタイリングや雰囲気とすごくマッチしていますよね。
鈴木:服はいつも無難に黒を選んでしまうことが多いんですが、このチャコールとソールの黒のコントラストがレトロな感じで可愛いなと思ったので、この色にしました。
- AORAKIに合わせられてるバーガンディのソックスも可愛いですね。
鈴木:そうなんです。お花のデザインにちょっとピンクが入っていて、シューズのチャコールとソックスのバーガンディとピンクの相性がいいかなって履いてみました。
- 今日のスタイリングのその他のポイントはありますか?
鈴木:実は登山の服はあまり持っていなくて、パンツはこのオリーブと黒の2本しか持っていないんです。アウターは黒いものも持ってきたので、パンツを黒にすると全身黒になってしまうため、今日はオリーブのパンツにしました。なので、そんなにスタイリングのこだわりはないです(笑)
-(笑)でも今日みたいな雨模様だと特にファッション性よりも機能性の方が大事ですよね。
鈴木:そうですね。どちらかというと機能性や肌触りの良さを優先しています。でも好きな色は結構あって、黒以外にもグレーとかベージュとか、そういうアースカラーが好きですね。
- 途中で着替えられたアウターやバックパックもアースカラーですね。バックは「macpac」でしょうか?
鈴木:macpacの「カウリ」というモデルで、30リットル入るので日帰りのハイキングによく使っています。
- 生地もリップストップですし、しっかり内張りもされているので丈夫で長く使えそうですね。
鈴木:以前ショルダーハーネスの部分が破れてしまったことがあるんですが、メーカーで修理ができたのでお直しに出しました。新しいものに買い替えるよりも、直して使っていくほうが愛着が持てて好きですね。
- ちゃんとリペアサービスがあるというのもすばらしいですね。ちなみにmacpacはどこの国のブランドでしたっけ?
鈴木:ニュージーランドですね。
- ちなみに今日履いていただいているAORAKIのモデル名ですが、ニュージーランドの最高峰「マウント・クック / アオラキ」からのインスパイアが元となっているんです。
鈴木:マウント・クックのマオリ語名がアオラキなんですね!たしかにこのシューズでマウント・クックを歩いたら気持ちが良いだろうなと想像が膨らみます。
- マウント・クックは登山道も整備されていて、初心者でも楽しめる山なので、エントリーモデルのAORAKIのイメージとリンクしています。ちなみにニュージーランドは行かれたことはありますか?
鈴木:ないんですよね。最近周りで行ってる人が多くて、行ってみたいとは思っているんですが。ロングトレイルも、ちょっとしたハイキングもできるみたいで。だけどネパールばっかり行ってしまうんですよね(笑)
山で撮り続けてきた写真と、もともと好きだった布という素材を組み合わせて何か作りたいなと。
- 鈴木さんは「山岳収集家」として、山をフィールドとして活動されていますが、登山をするきっかけは学生の時にはじめて山登りを経験してからとのことでしたよね?
鈴木:そうですね。大学院生の時に富士山や高尾山に登ったのがはじめです。それからアウトドアメーカーのモンベルで4年間勤めて、独立してから今のような活動を始めました。登山歴でいうとだいたい15年ぐらいですね。
山は日帰りハイキングを楽しむ人から、冬山でクライミングする人もいて、長く歩きたい人はロングトレイルをしますし、いろいろなスタイルや楽しみ方がありますよね。最近の私は、自分と親しみのある山をじっくりと何度も歩くのが好きですね。
- また「MOUNTAIN COLLECTOR」というプロジェクト名で、山で撮影された景色をハンカチに落とし込む活動もされていますが、登山といってもさまざまなスタイルの方がいらっしゃる中で、鈴木さんの活動はとても面白いですよね。
鈴木:コンスタントに山に行きながら山の景色を写真に収めて、それを元にハンカチを制作したり、その時の体験を文章にしたり、そういうことが活動の軸になっています。海外だとネパールに行くことが多くて、これからまた行く予定があるんですが、その時にまた違った風景に出会えるといいなと。
- ハンカチのプロダクトを作り始めたきっかけはなんでしょうか?
鈴木:モンベルを辞めて独立するとなった時に、やっぱり山をテーマに何か作りたいなと思って。山でずっと撮り続けてきた写真と、もともと好きだった布という素材を組み合わせて、このプロダクトが生まれました。アイディアはとても単純ですが、誰もやっていないものだったんですよね。始めたのは2016年からなので、来年でちょうど10年になります。
- シンプルな平面プロダクトのハンカチは写真を表現するにはぴったりのアイテムですよね。
鈴木:前職ではプロダクトデザイナーとして働いていたので、やっぱり手に取れる形のあるものを作ることでより多くの人に届けたいと思ったんです。それで、写真を額装して写真展をするのではなく、プロダクトに落とし込むという方に自然となりました。
- 大学は東京藝術大学に行かれていたとのことで、その時もプロダクトデザインを専攻されていたとか。
鈴木:その時にプロダクト系の勉強をしていて、モノを作ることが基本だったので、その流れですね。
- ちなみに、学生の時は何かスポーツや部活動はやってたんですか?
鈴木:部活は中学校の時に水泳部で、高校では剣道をやっていて。あと5歳から20歳までクラシックバレエをやっていました。なので昔から身体を動かすのは好きなほうだったんです。
- すごいですね。ちなみにけっこう本格的にスポーツのご経験がありながら、藝大でプロダクトを選考するきっかけは何かあったんでしょうか。
鈴木:小さい頃から絵を描いたり、モノを作ることが好きだったので、小学生の頃から造形教室に通っていました。それからもやっぱりずっと好きで、高校2年生の時に藝大を受けようと思って美術予備校に通い始めたんです。
- そういう背景があったんですね。バレエも長くやられていたとのことなので、スポーツに関わるほうに進むっていう選択肢はなかったんですか?
鈴木:その考えは全くなかったですね。スポーツはほどほどに人並みにできるというぐらいだったので(笑)それよりも自分がずっと好きで得意だったほうに行きたいなと思って、モノ作りのほうにしました。
- でも、スポーツの経験で培われたフィジカルが、鈴木さんの山での活動の礎になっていそうですね。ちなみに山を歩かれていて、今までの経験されたスポーツの中で何が一番活かされていそうですか?バレエのつま先立ちなんかも結構基礎になっていそうですが。
鈴木:たしかに。あと体幹が強いというのはあると思います。剣道なんかも体幹を鍛えておかないとできないので。
- 剣道の素振りなんかはかなり体幹が鍛えられそうですね。
鈴木:素振りは基本ですね(笑)体幹はスポーツ全般で大事だと思うんですけど、山での活動にも通じるかもしれません。疲れにくい登り方をするためには、やっぱり体の軸をぶらさないのが大事かなと。姿勢正しく登っていくと疲れないなっていうのは感じます。
- 登る時の体重移動のコツもなんかありそうですよね。思ったよりバレエや剣道の経験は山登りに役立ってそうです。
鈴木:そうですね。あんまり勢いをつけて登るとその反動で体が左右に揺れてしまうので、じわじわと登っていくような感じを意識しています。あと剣道は集中して相手をよく見る力も必要で、写真についてもよく見る力は必要かもしれませんね。ちょっと無理やりかもしれないですけど(笑)でも、山の中でもいろいろなものをじっくり見ながら写真を撮るということをずっと続けています。
- 風景や被写体の一瞬を見逃さないようにしなければなりませんもんね。特に鈴木さんの活動の特徴として、普通の山登りではあまり視界に入らないところに注目しているっていうのが、特別な活動になっている1つの要因かと思います。
鈴木:自分ではあんまり特殊な感じはしなくて、誰でもできることだとは思うんですが、でもあまり他の人はやっていないかもしれませんね。人が見向きもしないような美しさを見つけることが、山に登る楽しみのひとつになっています。
フィルムでの撮影は、撮りたいという衝動に基づいた、ごく直感的な行為だと私は思っていて。
- 続いて、鈴木さんの写真家としての活動についてですが、写真を撮り始めたのも大学の時からでしょうか?
鈴木:そうですね。大学生の時に父からフィルムのカメラをもらって写真を撮りはじめました。もともとは友人を撮ったり、日常の風景を撮ったりしていたんですが、登山を始めてからは山にも持っていくようになりました。
- ずっとフィルムカメラを使われてるんですか?
鈴木:そうです。フィルムカメラは山で撮影してから現像して見られるまでにタイムラグがあるんですが、それがまた良くて。なんかこう、もう1度旅をするような、山を歩き直すような感覚で写真を見ることができるんですよね。その感じが好きでフィルムを使っています。
- フィルムだと枚数に限りがあるから、よりフォーカスすることに集中できますよね。
鈴木:やっぱり1枚1枚に向き合って撮りますし、そういう風に被写体を見ることでより心に残るような感覚があります。
- 逆に効率がいいですよね。デジタルやスマートフォンだとたくさんの枚数撮っちゃいますから。
鈴木:フィルムでの撮影は、撮りたいという衝動に基づいた、ごく直感的な行為だと私は思っていて。枚数が限られているので、撮っておいた方がいいかなと思ったものは撮らないなど、そういう何か自分なりのルールを決めていたりもします。なので、瞬時の決断力が鍛えられますね。
- 買い物とかはあの時買っとけば良かったなってよく思うんですけど、景色はあまりそうは思わないですよね。普段は今日お持ちいただいたこの「YASHICA」のカメラをメインに使われている感じでしょうか?
鈴木:これともう1つ中判のカメラを持っていて、「MAMIYA」の645PROというフィルムのサイズが大きいカメラなんですが、より繊細な感じで撮れるんです。
- やっぱりフィルムにしか出せないものがありますよね。この「YASHICA」のFX-3 Super 2000は軽いですか?
鈴木:フィルムの一眼の中ではかなり軽いほうだと思います。ただ、カメラにもそんなにこだわりがなくて(笑)以前は「CONTAX」のSTをメインで使っていたんですが、パキスタンにトレッキングに行った時に落として壊してしまって。その時に予備として持っていっていたこのカメラを今でも続けて使っています。機械式で電池がなくてもシャッターが切れるので、山にはぴったりですね。
- このカメラはいつ頃生産されたモデルでしょうか?風合いがありますよね。
鈴木:年代はちょっとわからなくて。もっとカメラにこだわりを持った方がいいと思うんですが、あんまり興味がないというか(笑)自分は機材にこだわるタイプではなくて、撮るのが楽しいタイプですね。
登頂できなかったとしても、どのくらい力が足りないのかを知りたい。慎重になりすぎないことも大切。
- 鈴木さんの活動を紐解いていくと、山に登って、写真を撮って、プロダクトを制作するほかにも、書籍なども出されて、活動の幅がとても広いですよね。今日は手がけられたハンカチと書籍をお持ちいただいていますが、こちらはいつ出版されたものですか?
鈴木:K2の写真が表紙のこちらは2年前に出版しました。パキスタンのカラコルム山脈に位置するK2という山のベースキャンプを目指した旅の日記をまとめた本です。「手の中の珊瑚」は、2021年から2022年にかけて書いていた短めの文章をまとめたものです。こちらは旅の記録というよりも、わりと身近な山の中で過ごした日のことや、島や海辺の旅の話など、そういったささやかな内容を収録しています。
- 書籍以外にも味の素のウェブコンテンツ「オイシサノトビラ」にも寄稿されていたりもしていますね。鈴木さんのコラムやエッセイを読ませていただくと、自然と文章が入ってくるような、独特の柔らかさがある気がします。
鈴木:文章を書くときには、自分の中から湧き出てくる考えや感情ではなくて、山や旅の経験を通して見たものや感じたことを落とし込んでいきます。なので、自己表現というよりも記録に近い感じで書いています。
- あとは、ご自身の写真展も定期的に開催もされています。
鈴木:写真展は年に1度くらいのペースで開催しています。あとはプロダクトや書籍を販売するポップアップも全国各地でやっています。ただ、忙しすぎると気持ちの余裕がなくなってしまうので、今度また長めに時間を取ってネパールに行こうかなと。
- ネパールは今年の夏あたりにも行ってましたね。
鈴木:7月に1人で2週間ほど滞在しました。夏は雨季なので雨が降りやすいんですが、「ランタン谷」とその先に繋がる山に登って高山植物を見てきました。
- 「花の谷」とも呼ばれている「世界でもっとも美しい谷の1つ」として有名なところですよね。ちなみに10月末から渡航されるネパールはどのくらいの期間行かれる予定ですか?
鈴木:だいたい1ヶ月間ほど行く予定で、今回はいつもより高い山に登ってこようかなと思っています。7月のトレッキングでは普通の登山靴で歩けるところだったんですが、今回は雪山登山でアイゼンをつけて登って頂上を目指します。
- 山は何千メートル級ですか?
鈴木:ヒマラヤ山脈の「ロブチェイースト」という山で、高さは6,119メートルです。登頂できるかどうかは正直わからないのですが、行ってみようかなと思って。
- すごいですね!6,000メートル峰の登頂だと、高度順応もゆっくりされる感じでしょうか?
鈴木:私は高所に弱い体質で、ゆっくり登らないと高山病になりやすいので、人よりも長めに高度順応の時間を設けています。なので今回の旅は1ヶ月と長めになってます。
- お知り合いの登山仲間とか何人かのチームで登山されるんですか?
鈴木:今回は私1人で、現地でクライミングガイドとポーターをつけて行く予定です。誰かを誘っても来れる人は少ないですし、いろいろ調整していると行く機会を逃してしまうので、今だと思った時に行こうかなと思って。
当たり前のことなんですが、行こうと決意しないと行けないんですよね。漠然と行きたいなと思ってるだけでは行けないので、とりあえずチケットを取って行かざるを得ない状況を作りました。何かしらの締め切りを、自分で作らないといけないなと思ったんです。
- 今回、そのようなチャレンジをしようと思ったきっかけはなんでしょう?
鈴木:これまでに5,400メートルまでのトレッキングはしたことがあり、いつか6,000メートル峰にも登りたいという憧れはずっとあって。でもなんとなく自分には難しいかなという気持ちに負けて、タイミングを逃し続けてきました。
そんななか1人で行った7月のランタン谷のトレッキングはとても快適で、もしかして6,000メートル峰にも1人で行けるのかもしれないと思ったんです。帰国した直後は考えていなかったんですが、ちょうど秋が登山に適したシーズンだったこともあり、今だと思って行くことを決めました。
- パッと渡航を決められたのも、先ほどお話しいただいたフィルムカメラの撮影で鍛えた判断力や決断力が繋がっていそうですよね。ちなみに今回登頂できたら次は7,000メートル峰でしょうか?
鈴木:それはどうでしょう(笑)6,000メートル峰に登れるかどうかもわからないので。でも確実に登れるようになるまでトレーニングをしてから行こうとなると、いつまでも行けない気がしたんですよね。なので今回登頂できなかったとしても、どのくらい力が足りないのかを知りたいなと。慎重になりすぎないことも大切だと思うんです。
- 5,000メートルと6,000メートルもかなり景色も違うでしょうし、登頂できるかどうかわからない中でも、そういう新しい体験や発見をすることで、鈴木さんの活動にまた違う魅力が加わっていく可能性はありますよね。
鈴木:そう思います。この旅の後にまた本も作ると思うんですが、そういう感じでまた次の展開が広がるといいなと思っています。
そのときどきに登りたい山に登りながら、自分のペースで長く活動を続けていきたい。
- ちなみにネパールが一番好きとのことですが、魅力はどんなところですか?
鈴木:やっぱり圧倒的なヒマラヤ山脈があることと、それを楽しむ環境が整っているところですね。あとは、その土地の手仕事の品や雑貨を買うことがとても好きなんです。数年前から既製品だけではなくオリジナルのデザインで手織りのラグやワッペンを作ってもらったりもしていて。そういった繋がりがあって何度も通っているので、親しみが湧いてきているのもありますね。
- たしかにお土産屋さんがいっぱいありますよね。
鈴木:そうなんです。お買い物が大好きなので、それも楽しみのひとつです。なので今回も登山のあとにいろいろと買い付けをして販売しようかと思っています。
- どんなものを買い付けて帰国されるのかが楽しみです。ちなみに日本の山も色々と行かれていると思いますが、国内で好きな山とか地域はありますか?
鈴木:一番好きなのは富山県にある「立山」ですね。8回ぐらい行ってるかな?わりと上のほうまでロープウェイで上がれるんですが、そこに降りた瞬間から絶景が広がっているのがとてもよくて。
- 山を登られる方は皆さん立山はお好きですよね。
鈴木:やっぱりそれだけ魅力のある山なんだと思います。冬は入山するのは難しいんですが、どの季節も素晴らしくて、春に雪が残っている状態もすごくきれいだし、夏には高山植物がたくさん咲いて、秋には一面の紅葉が楽しめます。
- もともと植物はそこまで詳しくなかったとのことですが、活動の中でどんどん植物に詳しくなっていくっていうのも面白そうですね。
鈴木:山で見つけた花を写真に撮って後で調べるようにしていたら、山域ごとに咲いている花が違うことに気付いたり、逆に全く違う山域で同じ花を見ることもあったりして。そうしているうちにどんどん花が好きになり、同時に詳しくもなってきました。ただ、名前を覚えているのは自分の好きな花だけですが(笑)
- いいですね。やっぱり同じ山でも季節が変わると植物の様子も変わったりしますし、山や自然の中で活動する頻度が多ければ多いほど面白い発見がありそうです。コロナが流行った時にアウトドアが注目されて自然の中で遊ぶ方も増えましたけど、その時の流行りで終わるのではなく、その先にある自分らしい自然の楽しみ方を見つけられるとまた面白いですよね。
鈴木:広告やメディアでよく見かける山の景色だけではなく、そういうところには使われないけれども美しいものって山の中にたくさんあるんですよね。でも、それは自分で実際に歩いてみないと気付けない。そういう自分なりの目線で山を歩く、見るというのが楽しいなと思います。
- あと、関東平野にいると山の身近さっていうのになかなか気づきにくいですけど、日本の国土の7、8割は山で、地方は割と隣に山があるみたいな環境なので、山国の日本はまだまだ新しい魅力が見つけられそうです。
鈴木:山に登らなくても、ちょっとした丘陵地帯とか、ちょっとした森の中の道を歩くとか、そういうのだけでもいいと思います。そういう時にこのシューズがぴったりだなと思いました。普段のファッションに履いていても似合いますし。
- 山登りっていうと格好や装備やなんやらという感じになってしまいますし、もっと気楽に散歩感覚で自然に行く感じぐらいが肩の力が抜けていて良さそうですね。話は変わりまして、ちなみに鈴木さんの今後の目標は何かありますか?
鈴木:まずはネパールの6,000メートル峰に登ることですね。そのあとはネパール以外の国や地域にも行ってみたいです。ニュージーランドや中央アジアとか...
- MOUNTAIN COLLECTORのプロジェクトとしては何かゴールはありますかね?
鈴木:あんまり大きい目標というものはないんですが、そのときどきに登りたい山に登りながら、自分のペースで長く活動を続けてきたいなと思っています。
- 活動を長く続けるっていうのが一番大事ですよね。一般的には年齢を重ねていくにつれて体力や判断力が落ちてきますし。もちろん逆に研ぎ澄まされていく人もいますけど。
鈴木:最近は6,000メートルの山に行くためにジムに通ってトレーニングしてるんです。今までジムなんて通ったことがなかったんですが、やっぱりそこに向けてやっていかないと難しいなと思って。でもそれがまた結構楽しいんですよ。
トレーニングの成果は現地に行ってみないとわからないんですが、自分で何か目標を決めて、それに向かって努力をするのって、大人になるとなかなかないじゃないですか。会社に属していたり、チームで仕事をしている人は何かしらの目標やプロジェクトがあると思うんですけど。
- たしかに。でも何かにストイックに集中したい時や挑戦したい時がありますよね。
鈴木:久々にちょっと頑張らないとできないような目標を立てたので、それに挑戦するための準備もいいもなと思いましたね。そういうものがあると、日常も楽しくなる感じがします。学生時代に大会に向けて頑張るみたいな。そういうのを久々にやってみて、いいなと思いました。
- チャレンジ精神が素晴らしいです。挑戦することを続けていくっていうことも、自分らしいライフスタイルや実りある人生を送るためには大切なことかもしれませんね。
鈴木さんの6,000メートル峰の登頂の無事とこれからの挑戦や活動を楽しみにしています。ちなみに鈴木さんは長生きしたい派ですか?
鈴木:健康に長生きできればいいですよね。あとは気持ちの健康も。なので、自分の人生としては健やかに生きるということが目標です。
鈴木 優香
山岳収集家
1986年、千葉県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、アウトドアメーカーの商品デザイナーを経て独立。現在は国内外の山々を巡りながら、山や旅をテーマに写真やデザイン、文章などを通して幅広く表現活動を行う。
Instagram:@mountaincollector
Webshop:https://mountaincollector.stores.jp/
AORAKI Ⅱ WP
キャンプにも。日常使いにも。ちょうどいいアウトドアスニーカー。ソールユニットを一新し、ブランドのアイコンモデル「アオラギ」をアップデート。透湿防水メンブレン「ドライハイ ライト」を備えた充実の機能性で、オールラウンドに活躍します。付け替え可能なスペアシューレースが付属しています。
アイテム詳細>>
SHOP LIST>>
※ショップリストページの「OUTDOOR」アイコンが掲載されているショップをご覧ください。
※店舗によりお取り扱いがない場合もございます。
SPECIAL CORABORATION
TEE SHIRT
PRESENT CAMPAIGN
このたび、HI-TECと「山岳収集家」の鈴木優香さんとのコラボレーション<HI-TEC X YUKA SUZUKI コラボレーション Tシャツ>を特別制作。
5.3ozのオーガニックコットンTシャツのフロントにはHI-TECロゴの刺繍を施し、バックには鈴木さんが2024年秋に撮影した北海道・旭岳の1枚をプリント。
<HI-TEC X YUKA SUZUKI コラボレーション Tシャツ>は、2025年12月16日(火)- 2026年1月4日(日)の期間、HI-TEC公式インスタグラム@hitec_japanをフォローいただき、下記の応募アンケートページより応募いただいた方より抽選で「合計30名様」にプレゼント。
鈴木優香さんの作品が表現された数量限定アイテムです。皆様のご応募お待ちしております。
<プレゼントキャンペーン詳細>
■応募期間:2025年 12月16日(火)- 2026年1月4日(日)
■カラー:NATURAL
■サイズ展開:S / M / L
■その他詳細・注意事項
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