JOURNAL

解体新書 vol.04|SILVER SHADOW
HI-TEC(ハイテック)はスカッシュシューズをルーツとして、1974年に英国で誕生したアウトドア・ライフスタイルブランドです。そんなブランドのモデル1つ1つにはどのような開発背景があったのか、さらに深掘りしていきます。
第4回はハイテックを代表するランニングモデル"シルバーシャドウ"について、デザイナーからご紹介します。

「ハイテックを代表する人気者に、今回はあそびごころをプラス」
1981年の初代モデル発売以来、数々のコラボレーションモデルや限定モデルを発表し、国内外問わず多くの人に愛されてきた伝統あるシルバーシャドウシリーズ。2014年には、ロンドンのセレクトショップ “asos”とのコラボにより、初代モデルをコンパクトなシルエットに再構築したモデルを発売しました。


今回発売されたシルバーシャドウ40は、このモデルをユーロレトロカラーで再復刻したものです。広い世代の方々にハイテックを知ってほしいと思い、日常での「合わせやすさ」に目を向けて製作しました。ちょうど復刻を期待する声もあがっていた初代モデルの良さを残しながら、そこに新しさやあそびごころを加えることで、よりファッショナブルなシューズができました。

「ハイテックの歴史はアウトドアだけじゃないんです」
この春、歴代のスポーツアーカイブのなかから選ばれたスニーカーを再構築した『HI-TEC Trainers(ハイテック トレイナーズ)』を発表しました。シルバーシャドウ40もそのひとつなんです。
クラシックな雰囲気は残しつつ、70-80年代リバイバルブームや、現代のファッショントレンドとも相性の良いアッパーデザインにこだわりました。
アウトドアシューズブランドとして知られるハイテックですが、今回はその枠をちょっと飛び越えて、これまでハイテックのシューズを手に取ることのなかった方の目にも留まるよう、ファッション性や手軽さなど、これまでにないやわらかさを大切にして仕上げています。

シルバーシャドウは、ハイテックのルーツであるスカッシュ、シエラとともにブランドのなかで最もアイコニックなモデルのひとつで、初代シルバーシャドウは、1981年に開催されたロンドンマラソンで4人に1人のランナーが着用していたという革新的なシューズだったんです。
続くシルバーシャドウⅡには、当時の英国軍や消防隊のランニングシューズとして採用された歴史もあり、これらのノウハウは、のちのマグナムやトレイルランニングモデルにも引き継がれています。創業51年目を歩み始めたハイテックのなかでも、シルバーシャドウシリーズは時代とともにスポーツ、ミリタリー、アウトドアなどの幅広いジャンルでヒストリーを積み上げてきたブランドの礎と言えますね。

「“らしさ”と新しさ、いいとこどりのアップデートです」
シルバーシャドウ40は、80年代のヨーロッパを思い起こさせるようなフェードカラーなど、ユーロレトロをテーマに4つのカラーを展開しています。
グレーとネイビーは、オリジナルモデルのカラーを再現。 ベージュとケリーグリーンは、これまでのシューズコレクションを見ても、中々めずらしい配色となっています。ハイテックの靴はアースカラーや蛍光色などの“アウトドアシューズらしい色”が多いのですが、挑戦の意味も込め「新しいハイテック」を感じていただけるような色の組み合わせを選択しています。また、普段履きとしての「合わせやすさ」を重視したため、細かい色合わせにもこだわりました。

例えばミッドソールの配色を過去モデルとあえてならわず、よりカジュアルな印象を与えるため色の分量を整えています。また、ハイテックの象徴でもある“ハープンマーク”を、アッパーの雰囲気に合わせて柔らかい印象のかたちに変えるなど、シューズがこれまで培ってきた歴史を大事にしながら、今のトレンドに沿ったアップデートを重ねています。
カジュアルな服装にも、キレイめファッションのハズシとしても。毎日履くスニーカーとして手軽に選んでいただきたい一足です。
